― 自ら問いを立て、検証し、考察する“探究型化学学習” ―
本校の3年理数系コースでは、10〜11月期の化学の授業において、45名の生徒が少人数班に分かれ、自主研究形式の化学実験に取り組みました。各班は3〜4名で構成され、高校3年間で培ってきた化学の知識・技能を基盤に、学校に備蓄されている薬品の範囲内で、独自の研究テーマを設定しました。
設定された研究テーマは多岐にわたり、化学の幅広い分野を横断するものでした。
<研究テーマ(12班)>
1.ヨウ素デンプン時計反応を用いた律速段階の判別と反応速度式の導出
2.飲料水中に含まれるビタミンCの定量
3.水道水・飲料水・雨水などにおける COD(化学的酸素要求量)の比較
4.スチレンブタジエンゴム(SBR)の合成
5.尿素樹脂の合成と強度評価
6.信号反応を用いた反応過程の可視化
7.指示薬(色素化合物)の合成
8.シャボン玉を壊れにくくする最適条件の探索
9.芳香族エステルの合成
10.スライムとゲルの性質比較
11.果物に含まれる香気成分の抽出
12.天然ゴムの製法と性質研究
生徒たちは、自ら立てたテーマに基づき、まず実験レシピを作成し、反応の仮説を立てました。しかし、どの班も当初は思い描いた反応が起こらず、条件の調整や試薬量の見直しなど、トライ&エラーを繰り返す日々が続きました。
それでも、毎時間の研究活動の積み重ねにより、実験器具の扱いや手際が向上し、データの再現性も高まるなど、研究者としての成長が確かに見られました。生徒たちは得られた実験データを丁寧に扱い、その意味を考察し、次の検証へとつなげていきました。
11月下旬に行われた最終研究発表では、1班10分という限られた時間の中でありながら、どの班も研究の背景・方法・成果を分かりやすくまとめ、聴衆を引き込む発表を行いました。問いの設定から実験計画、データ分析、そして考察に至るまで、3年間の学びの集大成が感じられる内容となりました。
今回の化学研究は、生徒たちにとって、自ら考え、試し、深く学ぶ姿勢を育む、高校3年間の締めくくりにふさわしい実験活動となりました。

